[メイン2] 尾形 百之助 : 武器庫の中で、手当たり次第に使えそうなものを物色している。だが、男はなぜか武器庫の他の銃には手を付けていなかった。
[メイン2] 犬神 八千代 : その後を追いかけるように、ひょっこりと部屋へと入る。
[メイン2] 尾形 百之助 : 自分が持っているライフル一本のみ。他には申し訳程度にナイフなどを眺めている。
[メイン2]
犬神 八千代 :
「………」
しまった。
意気揚々と行ってしまったけど、何が武器となるのがわからない。
[メイン2] 尾形 百之助 : 視線を向けて、肩を竦める。
[メイン2] 尾形 百之助 : 「どうしたお嬢ちゃん? やっぱり銃が欲しいのか?」
[メイン2] 尾形 百之助 : 「まぁ、相手が相手だからな」
[メイン2] 犬神 八千代 : 「あー、いえ…」
[メイン2]
犬神 八千代 :
「護身用、というのはわかるんですが」
先ほどのナイフを取り出す、慎重に。
[メイン2] 犬神 八千代 : 「…相手がちょっと、これで大丈夫かわからないもので」
[メイン2] 犬神 八千代 : ……それでも、どうにかしないといけないのが現状ではあるのだが。
[メイン2]
犬神 八千代 :
「……銃、とか…私でも使えるんですかね?」
適当に近くにあった物を拾う。
[メイン2] 尾形 百之助 : 「使える」
[メイン2] 尾形 百之助 : 即答だった。
[メイン2] 尾形 百之助 : 「デカいのを持たなきゃいい、銃は反動をいかに制御するかが大事だ」
[メイン2] 犬神 八千代 : 「ですよね、つか……ええ?」
[メイン2] 尾形 百之助 : そういって、拳銃を一つ取り出して。
[メイン2] 尾形 百之助 : 「このサイズならいけるだろう」
[メイン2] 犬神 八千代 : 「…………」
[メイン2] 尾形 百之助 : ごとりと、木箱の上に置いた。その木箱の中身も、きっと武器なんだろう。
[メイン2]
犬神 八千代 :
黒光りする、その拳銃を見る。
無意識に…ごくり、とつばを飲む。
[メイン2] 犬神 八千代 : 「……これが……」
[メイン2] 尾形 百之助 : 「手に持ってみろ」
[メイン2] 犬神 八千代 : 「……え、あ、……はい」
[メイン2] 犬神 八千代 : 躊躇したが、……恐る恐る手に持つ。
[メイン2] 尾形 百之助 : 「プラスチック製だ」
[メイン2] 尾形 百之助 : 「思ったより重くはないだろう?」
[メイン2] 犬神 八千代 : 「プラスチック?……あ、本当です」
[メイン2]
犬神 八千代 :
冷えたようには思えない。
……が。
[メイン2] 尾形 百之助 : 「最新式の銃は軽すぎて俺は気に入らないが、お嬢ちゃんみたいなのには丁度いいだろ」
[メイン2] 犬神 八千代 : 「でも、拳銃には変わりないですよね…これ」
[メイン2] 尾形 百之助 : 「ああ」
[メイン2] 犬神 八千代 : 訝しげに、それを見回す。
[メイン2] 尾形 百之助 : そういって、銃の横についてるプルを指さし。
[メイン2] 尾形 百之助 : 「それを親指で下に落とせ」
[メイン2] 犬神 八千代 : ……言われたとおりに、そのプルを引く。
[メイン2] 尾形 百之助 : 「そしたら、スライド……こうやって握って、上半分を思いっきり手前に引いてみろ。重いぞ」
[メイン2] 犬神 八千代 : 「は、はい……!」
[メイン2] 犬神 八千代 : 尾形の言う通りに、指示通りに操作する。
[メイン2] 尾形 百之助 : 「それで安全装置が外れて、弾も込められた」
[メイン2] 犬神 八千代 : 「……もう、撃てる?」
[メイン2] 尾形 百之助 : 「あとは、両手でしっかり握って、狙いをつければ……」
[メイン2] 尾形 百之助 : ニヤリと笑う。
[メイン2] 尾形 百之助 : 「ああ、そうだ」
[メイン2] 尾形 百之助 : 「もうそれで、今引き金を引けば」
[メイン2] 尾形 百之助 : 「俺を殺せる」
[メイン2] 尾形 百之助 : 「……簡単だろう?」
[メイン2]
犬神 八千代 :
「それはしませんよ」
一応、言っておく。
[メイン2] 尾形 百之助 : 「なら、こうされたら?」
[メイン2] 尾形 百之助 : 一瞬で、尾形のライフルの銃口が八千代に向けられた。
[メイン2]
犬神 八千代 :
「…ええ、こんなにあっさりだなんて」
……正直、このおもちゃみたいな物ですら人を殺すということに恐れている。
[メイン2] 犬神 八千代 : 「………っ!」
[メイン2] 犬神 八千代 : ばっと、それを向けられるが。
[メイン2] 犬神 八千代 : 「………なにもしません」
[メイン2] 犬神 八千代 : 手を上げる。
[メイン2] 尾形 百之助 : 「何故だ?」
[メイン2] 犬神 八千代 : 「あなたがここで私を殺すと、見えないからです」
[メイン2] 尾形 百之助 : 「ほう?」
[メイン2]
犬神 八千代 :
……猫は気まぐれ、ならこの人のこの行為も…
”気まぐれ”ということ。
[メイン2]
犬神 八千代 :
「………仲間だと思ってますから」
「話したら…分かってくれそうな人ですし」
[メイン2] 犬神 八千代 : 「もし間違ってたら……仕方ないですけど!」
[メイン2] 犬神 八千代 : それは相手の求めるものを見抜けなかった私が悪い。
[メイン2] 尾形 百之助 : 「俺に仲間はいない」
[メイン2] 尾形 百之助 : そう、あっさりと言うが。
[メイン2] 犬神 八千代 : 「むうう……」
[メイン2] 尾形 百之助 : 「だが、殺す気がないのはお嬢ちゃんが見抜いた通りだ」
[メイン2] 尾形 百之助 : 笑って、銃を降ろした。
[メイン2] 犬神 八千代 : 「あ、ほら!…言った通りです!」
[メイン2] 犬神 八千代 : どこか自慢げに。
[メイン2] 尾形 百之助 : 「まぁ、あの化け物は違うだろうけどな」
[メイン2] 尾形 百之助 : 「殺す気でくるぜ、絶対に」
[メイン2] 犬神 八千代 : 「………まあ、そうですね」
[メイン2]
犬神 八千代 :
「……そのために、ここに来ましたから」
拳銃を、握り直す。
[メイン2] 犬神 八千代 : 「そーれーと、聞き捨てならないんですが」
[メイン2] 犬神 八千代 : 「あなたと私は仲間です、おーけー?」
[メイン2] 犬神 八千代 : 「ここに連れてこられた仲間!」
[メイン2] 尾形 百之助 : 目をぱちくりとさせて。
[メイン2] 犬神 八千代 : 否定されても仲間は仲間だ。
[メイン2] 尾形 百之助 : 「へぇ、そうなのか?」
[メイン2]
犬神 八千代 :
「そうです!」
これもまた、自信満々に。
[メイン2]
犬神 八千代 :
…”仲間”が危険にさらされるなら、どんな手段を使っても守る。
そのために、ここに来たのだ。
[メイン2] 犬神 八千代 : 「……それとも、不満ですか?」
[メイン2]
犬神 八千代 :
………なんだか、”猫”らしい素振りも含めて。
孤独でいるのが好きなようなこの人。
[メイン2] 尾形 百之助 : 「いいや、もし本当なら嬉しいね」
[メイン2] 尾形 百之助 : ニヤリと笑う。
[メイン2] 犬神 八千代 : それにふふんと笑い返す。
[メイン2] 尾形 百之助 : 「俺と本当に『仲間』なら」
[メイン2] 尾形 百之助 :
[メイン2] 尾形 百之助 : 「この中の誰が死んでも『罪悪感』は抱かないってことだからな」
[メイン2] 尾形 百之助 :
[メイン2] 尾形 百之助 : 「楽でいい」
[メイン2] 犬神 八千代 : 「──────」
[メイン2] 尾形 百之助 : 薄暗い武器庫の中で、尾形は薄く笑っている。目だけが、ヤマネコのように輝いていた。
[メイン2] 犬神 八千代 : …その言葉を受けて、少し口が止まるが。
[メイン2] 犬神 八千代 : 「……それは…きっと、抱いてしまうと思います」
[メイン2] 犬神 八千代 : 守れなかったら私の責任だ
[メイン2] 尾形 百之助 : 「俺の弟もそういっていた」
[メイン2] 犬神 八千代 : 「……弟…さん?」
[メイン2] 尾形 百之助 : 「ああ、人を殺したり、誰かが自分のせいで死んだことで罪悪感を抱かない人間はいない、いていい筈がないってな」
[メイン2] 犬神 八千代 : 「……」
[メイン2] 犬神 八千代 : 「…私もそう思います、じゃあ」
[メイン2] 犬神 八千代 : 「……お兄さんも、そうじゃないんですか?」
[メイン2] 尾形 百之助 : 「いいや」
[メイン2] 尾形 百之助 :
[メイン2] 尾形 百之助 : 「何とも思わない。弟が死んでもな」
[メイン2] 尾形 百之助 :
[メイン2] 尾形 百之助 : 「弟は軍人だった。でも最前線で……撃たれて死んだよ」
[メイン2] 尾形 百之助 : とんとんと銃を叩きながら。
[メイン2] 尾形 百之助 : 「『後ろから一発で頭を撃たれて』な」
[メイン2] 尾形 百之助 : 「……ま、戦場じゃよくあることだけどな。ははは」
[メイン2]
犬神 八千代 :
「……もしかして…誤射、ですか?」
……それとも……。
[メイン2]
犬神 八千代 :
いや、そうであるはずがない。
……きっと。
[メイン2] 尾形 百之助 : 「ああ……誤射だよ。『書類上』はな」
[メイン2] 犬神 八千代 : 「………」
[メイン2] 犬神 八千代 : 「……それでも、不幸な事故だったとは思いますが」
[メイン2]
犬神 八千代 :
「……本当に、本当にあなたが、そうなんですか?
私は、罪悪感を持たない人なんて……見たこと、ないです」
[メイン2] 尾形 百之助 : 「そうだ」
[メイン2] 尾形 百之助 : 「俺は何人殺してもなんとも思わない」
[メイン2] 尾形 百之助 : 「だから『此処』にいる」
[メイン2] 尾形 百之助 : 「あんなくだらない都市伝説を試しちまったから、『此処』にいる」
[メイン2] 尾形 百之助 : 「……ブラッディ・ランド。もうこの言葉だけで『ろくでもない所』ってわかってたんじゃないか? お嬢ちゃんも」
[メイン2] 犬神 八千代 : …………。
[メイン2]
犬神 八千代 :
「……確かに、ここがそういう所であるのもわかってます
あなたが…私とは違う、って…言いたいのもわかりました」
[メイン2] 犬神 八千代 : でも、と一歩出る。
[メイン2] 犬神 八千代 : 「思わないなら、思ってください!」
[メイン2] 犬神 八千代 : 「罪悪感を持てるように!」
[メイン2]
犬神 八千代 :
ふんふんと、鼻息が荒く。
犬の尻尾のように、ポニーテールが揺れる。
[メイン2] 犬神 八千代 : あの人の”仲間”のお眼鏡にはかないませんでしたが。
[メイン2]
犬神 八千代 :
私の”仲間”であれば、それがしてもらえれば大丈夫です!
なんていいアイデアでしょう!
[メイン2] 尾形 百之助 :
[メイン2] 尾形 百之助 : 「……」
[メイン2] 尾形 百之助 : 尾形はそれを聞きながら、銃をまた握り直し。
[メイン2] 尾形 百之助 : 「……じゃあやっぱり、『仲間』じゃねぇだろそれ?」
[メイン2] 尾形 百之助 : 一人、そう呟く。
[メイン2] 尾形 百之助 : その呟きは……闇に溶けて、消えた。
[メイン2] 尾形 百之助 : 「全く」
[メイン2] 犬神 八千代 : その呟きが耳に届くことはなく。
[メイン2] 尾形 百之助 : 「……弟と同じことを言いやがって」
[メイン2] 犬神 八千代 : 急に黙ってどうしたのかなー、とか思っている。
[メイン2] 尾形 百之助 : 溜息をついてから。
[メイン2] 犬神 八千代 : 「答えが無いってことはイエスですね!?」
[メイン2] 尾形 百之助 : 「ああ」
[メイン2] 尾形 百之助 : 「それでいい」
[メイン2]
犬神 八千代 :
よし、とガッツポーズ。
尾形の目の前なのに。
[メイン2] 尾形 百之助 : 「……一つ聞きたいんだがな、お嬢ちゃん」
[メイン2] 犬神 八千代 : 「やっと認め……はい?」
[メイン2] 犬神 八千代 : 一人そうしていたポーズを解いて、尾形の方を向く。
[メイン2] 尾形 百之助 : 「例の都市伝説、トリガーは『ブラッディ・ランド』と唱える事だったな?」
[メイン2]
犬神 八千代 :
「えっと~……」
顎に手を当てて唸り。
[メイン2] 犬神 八千代 : 「私はそうしましたね」
[メイン2] 尾形 百之助 : 「何故だ?」
[メイン2] 尾形 百之助 : 「異世界に放り出される、そういう内容だったはずだ」
[メイン2] 尾形 百之助 : 「万一成功すればロクな目にあわないことは想像できたはずだ。なのにどうして……そうした?」
[メイン2] 犬神 八千代 : 「……え、ええっと~…」
[メイン2]
犬神 八千代 :
言うかどうか、迷う。
視線を下にずらした後。
[メイン2] 犬神 八千代 : 「……友達が私の事をハブったので、腹いせといいますかぁ……」
[メイン2] 犬神 八千代 : ……”仲間”ではないと、拒絶されたから。
[メイン2] 尾形 百之助 : ……それで”仲間”に拘るわけか。
[メイン2] 犬神 八千代 : 「まあ、それで引き起こした感情的なものなので……理由とか、ないんですけど……」
[メイン2] 犬神 八千代 : そう、言いにくそうに言う。
[メイン2] 尾形 百之助 : 「……」
[メイン2] 尾形 百之助 : しばらく押し黙っていたが。
[メイン2] 尾形 百之助 : 「……フッ」
[メイン2] 尾形 百之助 : そう、笑う。
[メイン2] 尾形 百之助 : 「まぁ、俺も似たようなもんだ」
[メイン2] 犬神 八千代 : わ…笑われた……!
[メイン2] 犬神 八千代 : 「……や、また共通点発見ですね!」
[メイン2] 尾形 百之助 : 「そうだな」
[メイン2] 犬神 八千代 : ポニーテールぶんぶん。
[メイン2] 尾形 百之助 : 犬みてぇな女だな。
[メイン2] 尾形 百之助 : 「相応しい『居場所』がないってのは……退屈なもんだからな」
[メイン2] 犬神 八千代 : 「……居場所ですか、少なくとも…」
[メイン2] 犬神 八千代 : 「私はあなたや、向こうの方々といて退屈しませんよ!」
[メイン2] 犬神 八千代 : 「あなたは、どうでしょうか?」
[メイン2] 犬神 八千代 : そう、いつの間にか髪だけではなく両腕も振りつつ。
[メイン2] 尾形 百之助 : 「まぁワクワクしてるよ」
[メイン2] 尾形 百之助 : 「男の子なんでな」
[メイン2]
犬神 八千代 :
ほらね!と言いたげな顔で返す。
自信満々で。
[メイン2] 犬神 八千代 : そして、足を元々の白い部屋へと向けて。
[メイン2]
犬神 八千代 :
……なんであの男の人を気にかけたかって?
それは決まってますよ。
[メイン2] 犬神 八千代 : 私、猫派なので!
[メイン2] 犬神 八千代 :
[メイン2] 犬神 八千代 :
[メイン2] 犬神 八千代 :
[メイン2] ガリィ・トゥーマーン :
[メイン2] ガリィ・トゥーマーン : 「……って、一人ですか」
[メイン2] ガリィ・トゥーマーン : 「チビとカネコさんが向こう行くつった時点で嫌な予感してましたけど……」
[メイン2] ガリィ・トゥーマーン : 「……」
[メイン2] ガリィ・トゥーマーン : 「はぁ」
[メイン2] ガリィ・トゥーマーン : 「……やっと、落ち着けますね」
[メイン2] ガリィ・トゥーマーン : 疲れた
[メイン2] ガリィ・トゥーマーン : 人形の自分には、人間の中に居場所などない……柄にもなく殊勝な事を思いはしたが…
[メイン2] ガリィ・トゥーマーン : 大間違いだった、彼らは間違いなくこちら側
[メイン2] ガリィ・トゥーマーン : 「……まーさか、カネコさんがあそこまでとは。ガリィちゃんの目を持ってしてもみ抜けませんでしたよ」
[メイン2] ガリィ・トゥーマーン : 「…逆に、ちんまりちゃんは想定より動きが良い」悪い意味で
[メイン2] ガリィ・トゥーマーン : 「ま、ここからアレを飲めるんなら大したもんですけど……部が悪いですかねぇ?」
[メイン2] ガリィ・トゥーマーン : 「……ま、呑まれかけたら、蹴っ飛ばすくらいはしてあげますけど」
[メイン2] ガリィ・トゥーマーン : 「ま、ちょーっと泣き顔拝んでからでも遅くはないですけど!ヒャヒャヒャ!!!」
[メイン2]
ガリィ・トゥーマーン :
あたしは人形だ
誰かに作られた物に過ぎず、任務を遂行する事が一番
[メイン2] ガリィ・トゥーマーン : けど
[メイン2]
ガリィ・トゥーマーン :
あたしはガリィだ
誰かに作られたけど、任務もアイツも心配だ
[メイン2] ガリィ・トゥーマーン : あたしの中には、あたしが二人いる
[メイン2] ガリィ・トゥーマーン : どちらかが影や、偽物なら封じていれば良い
[メイン2] ガリィ・トゥーマーン : 光や、真相なら目を逸らせば良い
[メイン2] ガリィ・トゥーマーン : だが
[メイン2]
ガリィ・トゥーマーン :
それはあたしでしかない。
自分で自分を決められないあたしにとって、一番のイレギュラー
[メイン2]
ガリィ・トゥーマーン :
欲を優先して、優しくしたい
厳しく当たって突き放さずに
[メイン2]
ガリィ・トゥーマーン :
職務を全うしたい、マスターへの想いの為に
だから、厳しくするしかない相手は拒絶する
[メイン2] ガリィ・トゥーマーン : ……その二つはいつの間にか、溶けて混ざった
[メイン2] ガリィ・トゥーマーン : だから、こんな半端な真似を続けている
[メイン2]
ガリィ・トゥーマーン :
素直になればいいのに、邪魔と突き放して
放っておけばいいのに、拒絶を理由に関わろうとする
[メイン2] ガリィ・トゥーマーン : 「……人間は、中身」
[メイン2]
ガリィ・トゥーマーン :
「人形のあたしは………」
なんだろう?
[メイン2]
ガリィ・トゥーマーン :
人形という存在だけで考えれば
生まれた役割に全てを注ぐべきだ
[メイン2]
ガリィ・トゥーマーン :
だが、人を模した存在だと思えば
人間らしい中身を手に入れなければならない
[メイン2] ガリィ・トゥーマーン : 「……は、はは!」
[メイン2] ガリィ・トゥーマーン : 「何アホくさい事考えてんだか!あたしはオートスコアラー!マスターの為に働く人形」
[メイン2] ガリィ・トゥーマーン : 「生まれ持った使命、それが果たせるなら文句なんて……」
[メイン2]
ガリィ・トゥーマーン :
「………」
だが、もしも
[メイン2]
ガリィ・トゥーマーン :
任務の為、身を捧げるあたし達の中で
もしも
[メイン2] ガリィ・トゥーマーン : 最初に壊れるのがあたし以外だったら
[メイン2] ガリィ・トゥーマーン : どう思うだろう?
[メイン2] ガリィ・トゥーマーン : そうだ、笑えばいい、私は人が怒ったり泣いたりするのが好きだ
[メイン2] ガリィ・トゥーマーン : 普段通りに流せる筈だ、どんなに苦労をかけられても
[メイン2] ガリィ・トゥーマーン : ──では、消えたのがミカだったら?
[メイン2] ガリィ・トゥーマーン : どんなにミカに苦労をかけられても平気だった、笑わなくても、その時怒っていても
[メイン2]
ガリィ・トゥーマーン :
「……人形同士、愛着が生まれるのは仕方がないじゃない」
「そうよ、ちょっと……戸惑うくらい」
[メイン2]
ガリィ・トゥーマーン :
仕方ない、大体ミカは自分よりも性能がずっと良い個体だ。
自分より破壊されることはまず──
[メイン2] ガリィ・トゥーマーン : なら、人間なら。トオルを殺さなきゃダメなら?
[メイン2] ガリィ・トゥーマーン :
[メイン2] ガリィ・トゥーマーン : 「…………」
[メイン2] ガリィ・トゥーマーン : 何度も停止と再起動を繰り返した人形の思考が数刻ほど完全に停止する
[メイン2] ガリィ・トゥーマーン : 「……何だってんだよ」
[メイン2] ガリィ・トゥーマーン : 「なんで今日ばっかり、こんな余計な事考える羽目になるんだ」
[メイン2] ガリィ・トゥーマーン : 「頭がガンガンするんだよ……有りもしない脊髄が、嫌なことを考える度凍って鬱陶しいのよ……!!」
[メイン2] ガリィ・トゥーマーン : 「人形らしくも、人間らしくもいれないのに、どうしろっての……!!」
[メイン2] ガリィ・トゥーマーン : どうにも纏まらない頭を放り出す為、現実逃避に近い形で思考を投げ出す
[メイン2]
ガリィ・トゥーマーン :
一時的にエネルギー供給を滞らせ
思考に裂くエネルギーを強引に減少させる
[メイン2]
ガリィ・トゥーマーン :
ベッドに横になり、時間が来るまでの間。
思考の侵蝕を消し去る事に留意する
[メイン2] ガリィ・トゥーマーン : 異常があればすぐに稼働できるよう、準備を整え。思考回路を止める瞬間
[メイン2] ガリィ・トゥーマーン : こう思えた
[メイン2] ガリィ・トゥーマーン :
[メイン2] ガリィ・トゥーマーン : 『一番最初に消えるのが私なら、何も考えなくて良い』
[メイン2] ガリィ・トゥーマーン :
[メイン2] ガリィ・トゥーマーン :
[メイン2] ガリィ・トゥーマーン :